Nothing to gain

得るものは何もない。

51.

半沢直樹』最終回。
最後の1秒まで面白いドラマだった。

箕部に対して確固たる証拠を突きつけるため、
秘書、IT会社社長、現役大臣、国税庁、大航空企業、
今シーズンで半沢が築き上げた縁が一丸となったシーンは鳥肌が立った。
その中には前シーズンから敵役として立ち塞がっていた黒崎や大和田の姿もあって、
ここまでバンカーとしての意地とプライドを貫き通した半沢の判断の結果が現れていたな。

そして、逃げ場を全て塞いだ上で箕部に浴びせた啖呵。
危機に曝された国状があり、航空業界を始めとした多数の企業が苦しむ現状がある、
それでもまた明るい未来が来ると信じて今を懸命に生きている人たちがいる、
そこに寄り添い力を貸すのが政治家の本当の仕事である。
この言葉の羅列は正に今のコロナ禍に苦しめられている企業や生活に対するものだと捉えた。
本来であれば、国際的なスポーツ祭典の開催を含め、明るく華やかな2020年になるはずで、
ここに向けて大きな期待を掛けて準備をしてきた多くの企業や働き手がいたはず。
それが覆されるような事態が突如として起こり、
終わりの見えない一進一退の現状にやり切れない閉塞感や不安感を抱え、
二転三転する対策を打ち出す上に不信感を持った。
そんな鬱憤をあの数分間で見事に晴らしてくれたようで、
初回から見ていたけれど、初めて涙が出てしまった。

原作、脚本、演出、キャスティング、全てに力があったことは大前提として、
そんな時代背景も味方につけこの作品はここまで支持されたのではないかと思う。


現在の時間軸の原作は今回の『銀翼のイカロス』で止まっているようだけど、(先日出版された最新刊は1巻より前の時間軸)
また次があることを期待したいなー……。
この儘ならない現状の中で最後まで撮影を走りきってくれた全ての関係者の皆さま、本当にお疲れ様でした。
めちゃくちゃ面白かったです。