Nothing to gain

得るものは何もない。

49.

7年の歳月と今春のコロナ自粛による延期期間を経て、
漸く7月からスタートしたTBSドラマの『半沢直樹』。
前作は後半部分の東京編から視聴。
その頃には視聴率や話の痛快さが大きな話題になっていて、どんなもんかと目にしたのが切っ掛け。
実際に目にすると、主人公・半沢が啖呵を切る様は確かに小気味良く、
一進一退を繰り返しながら宿敵・大和田に迫っていく姿にたった1話で引き込まれた。
最終回まで変わらない熱量で駆け抜けたこともあり、今回の放送も楽しみにしていた。

放送が始まると、期待を裏切ることなく毎週楽しい。
メイン陣はもちろん、端役や1話限りのゲストにも手を抜かないキャスティングがともかく凄い。
歌舞伎界から演劇界から声優界から、普段テレビで拝見する機会はなくとも、
しっかり演技力が身体に取り込まれている方々ばかりなので、
普段とは違うフィールドであってもその力を遺憾なく発揮されている。
本当にいろいろな媒体で芝居を観ている方がキャスティングに加わっておられるのだろうな、と思わずにはいられない。

演技力に隙がなければお話に集中するものだけど、ここでも抜かりがない。
毎週のように起こる問題提起とその解決。
解決へのプロセスでは、敵対相手とのギリギリの攻防戦が展開されて常に熱い。
メタ的なことを言えば半沢が勝利することは決まっているけれど、
それでも「もしかして今回はダメなのではないか?」と思わせるような流れにハラハラする。
そして裏切りも守りも予想外なところを突いてくる。
先日の第9話で前作からずっと半沢の敵対キャラだった黒崎が味方についた瞬間は、
テレビを見ながら手を叩いてしまった。
「これまでの敵が味方になる」というのは王道の少年漫画のようと言われているけれど、
そういう展開がだいすきなので、個人的にはとても嬉しい。

そんなこんなで毎週楽しませてくれている『半沢直樹」も次回がいよいよ最終回。
前回のラストの展開から、頭取黒幕説をチラつかせているようだけど、
何年もかけて牧野副頭取の死の真相を追い掛けてきた中野渡頭取が、その要因の根源である箕部に通じるのは考えにくい。
頭取は頭取で箕部を追い込む策があって、大和田はそれに加担、
半沢に対する担当外しと土下座強要はその場を納め彼を守るための苦肉の判断だったのでは?
あたりまでを予想。…………とは言え、ネットに溢れてる予想と同じだけども。
あと、伊勢志摩で半沢たちと同様に箕部の金の動きを写真に撮っていた秘書の笠松の動きも気になる。
回収すべき伏線や最後の追い込みを考えると15分の拡大で間に合うのだろうか、と少し心配だけど、
今回も見事なまでの成敗を期待したい。
来週が終わったらロス凄そうだな。

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前記のように、前作は東京編からしか見ていないので、大阪編を見る手立てを考えていたところ、
総集編ではあるけどもParaviで配信していることを知り、お試し無料期間を利用して視聴。
続いて東京編も再度見たくなったので、この2日間で一気見。
疲労感すごいけど充実感もすごい。
いや、これは確かに人気が出たわけだわ……。

余談。
東京中央銀行はほとんどの部分を上野の東京国立博物館で撮影しているので、
だいたいのカットに彼処の本館の廊下や大階段が映り込んでいる。
以前働いていた場所だけど良い思い出が全然ないので、
背景が目に入る度に嫌な思い出が頭を過ぎる事だけはこの作品を視ていて辛くなるところ。