26．

数ヶ月に一度、羽田空港の展望デッキに行く習慣があった。
特に何をするでもなく、ご飯食べて、飛行機の離着陸をボーッと眺めて、適当なところで中に引き上げ、
滑走路に面した窓が大きく取られているカフェでコーヒーを飲みながらまた眺める。
気が済んだら空港内のショップを覗いて帰る。

ただそれだけ。

それでも、目の前に開けに開けた空と海は目に優しくて心が落ち着いた。
いつ行くとは決めていなくて、心がモヤモヤした時や、ふと思い立った時に行っていた。

初めて行ったのはいつだったか覚えていないけど、
前職の人間関係やら仕事やらがひたすらキツかった頃だったと思う。
突発的に有給休暇を取ったものの、やることも行くところもなく、
どうするかと考えていたときに、なんか広い場所に行きたくなり足を向けた気がする。
結果的にそれが一種の慰めになったのか、自然と今でも続く習慣となってる。

せっかく空港に行っているのだから、
限定の空弁なるものでも食べれば良いのに、いつもコンビニかマックのテイクアウト。
でもその手軽さが良い。
特別なことを意識してしてしまうとそれはそれで行きづらくなってしまう気がするので。
あくまでちょっとした非日常を得に行ってるだけ。

最初は、こんな空港の利用の仕方は特異なのかもしれないと思ったけど、
空港を遊び場にしている勢は意外といるらしい。

今年はまだ一度も行けていない。
仕方のないことだけど、早くあの開けた空と海をまた見たい。