Nothing to gain

得るものは何もない。

20.

今月のテスト勉強やレポートに時間を割かねばと思いつつ、
つい読むのを止められずに読了。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

以前読んだのはいつだったか。
映画が公開された時だと思うから2008年か。

日航機墜落事故に奔走した地元新聞社の話だと記憶していたけど、
読み返してみるとなかなかに新聞社内の内部事情や人間事情が絡んでいて、
未曾有の大事故を前にした報道の在り方を純粋な気持ちで追うようなものではなかった。
隔壁の件は一つのクライマックスとして抜いたと思っていたな……。
まさか直前であんな足止めをしていたか。
事故遺族に対する冒涜とも捉えられかねない投書が大きな波紋を起こす、
というのは何となく覚えていた。
あんなラストのラストだったとは思わなかったけど。

事故が起こったのは昭和60年。
当時は、パソコンはもちろんワープロを使う習慣もまだなく、
記者は手書きで記事を書き、編集局が記者を呼び出すのはポケベル→公衆電話。
そんな時代を知らない訳ではないのに、パソコン・スマホ・インターネットが当たり前になり過ぎて、
これほどの規模の事故を追っていた背景がこんなにもアナログだったのかと驚いた。

8月12日が間も無くやってくる。
520人もの人命が失われたこの事故を忘れることなくいたい。